ラジオラジオラジオ!/加藤千恵
この世界で起きていることの一パーセントも、わたしは拾えていないのかもしれない。
009
人生も十代も青春もあっというまに過ぎ去ってしまうらしいけれど、三十分番組の収録は意外と長い。自分たちの言葉で真っ白な時間を埋めていくのだ。
016
このままがいい、ではなく、このままでいい、と。
024
自分たちは水槽の中にいて、あらゆることは水槽の外で起きている、という感覚。外のことは目にしているし、時に心配もするけど、どうしても実際の温度とかそう言ったものは感じられず、かなり大きな事件でも、自分とは関係ないという気がしてしまう。
024
わたしはこんなにも一人で、それでもこの箱は世界中につながっている。
029
かすみ草だってバラだって花にくくられるのと同じ。
035
明日には忘れてしまいそうなものばかり学んでいる。明日の自分に必要かどうかもわからない。
039
世の中には、偶然って言葉で片付けるにしては無理のある出来事が多い。縁や運命なんて言葉がふさわしいのかもしれないけれど、内心、まだ足りない。
053
大人になるのはなつかしむ時間を増やすことかもしれない
061
紫の息を吐く魔物にでもなった気分だけど、色はついていない。
095
ー『青と赤の物語』
何かを知ることで何かが失われることがあるのを、誰に教わったわけでもなくても、二人はわかっていました。
161
今抱えている気持ちを、正しい重さで伝える言葉なんて、自分は知らないような気がしました。
165
二人は、青と赤になりました。
本当は別の呼び名でもよかったのです。黒と白。リンゴとレモン。太陽と雲。犬と猫。なんでも。大切なのは、お互いがそれを認識できて、本当の名前とは無縁であることでした。
167
悪いことは数えやすくても、いいことというのは数えにくいものなのです。
188
行間の表現が本当にすき。